SPring-8は、80億電子ボルトの加速エネルギーにより世界最高性能の放射光を発生する
ことができる大型の研究施設で、平成9年10月から広く開かれた共同利用施設として一般
の方々による利用への供用が開始されています。
放射光とは、光に近い速さまで加速された電子が磁石によって進行方向を曲げられたとき
に発生する、極めて明るい電磁波です。レントゲン等に利用されるX線を、そのエネルギー
・指向性・輝度などを極めて高くしたものであり、物質の内部を鮮明に見ることができる
光の一つです。
SPring-8では、現在年2回の公募により、上期と下期の利用について課題募集を行い
、採択された課題について、放射光による実験を行って頂いております。また利用者に
対しては、利用に関する様々な支援を行っております。放射光は、SPring-8の運転中は
、24時間連続して提供されていますので、利用者は深夜でも実験が行えるよう、サイト
内に利用者用の宿泊と食堂等の施設が整備されています。既に、数多くの利用者がここ
に集まり、材料科学、地球科学、生命科学、環境科学及び医学など様々な分野で、学術
研究・産業応用に広く利用されています。従来の利用で実施された課題は以下のホーム
ページでご覧いただけます。
(URL) http://www.spring8.or.jp/ja/about_us/public_info/proposal_list/publicfolder_view
SPring-8では、放射光の物質内への高い浸透性等の特性を活かし、いままでにない高精細な解析が可 能となっており、これまでに、以下のような身近な製品開発にも威力を発揮しています。
<自動車関係の技術開発の例>薬品開発を目的として、新たに発見または創成された蛋白質の構造解析に活用されています。
<その他の応用例>
防水用ポリマーセメントの硬化反応を解明し、その技術的裏付けから受注に成功しています。
また、極微量分析を利用した科学捜査・遺跡からの出土品の鑑定にも利用され、
さらに以下のような分野にも利用が広がりつつあります。
なお、今年度募集する「新領域研究」「重点領域研究」に関しては、以下のような利用が考えられます
<新領域研究>
そのほかの産業界における利用例については、以下を参照してください。
(URL)
http://www.spring8.or.jp/ja/users/new_user/industrial/publicfolder_view
地球シミュレータ」は、コンピュータ上に仮想地球を構築し、気候変動や地震等の地球内部変動等、
地球規模の環境変動現象の予測・解明を行う目的で開発された世界最高クラスの性能を有するベクトル型並列計算機です。
システム構成としては、1個あたり8ギガ(10億)FLOPSを実行するベクトルプロセッサ5,120個を、
超高速のネットワークで接続しています。
ピーク性能は40テラFLOPS(1秒間に40兆回の浮動小数点演算を行う性能)、
主記憶容量は全体で10テラバイトを備えています。さらに超大規模のデータ保存システムとして、
240テラバイトのハードディスク装置、1.5ペタバイトのカートリッジテープライブラリで構成する
「大規模データ処理システム」を整備しています。
「地球シミュレータ」は、平成9年度より開発を開始し、平成14年2月末に完成、
開発担当機関の一つである独立行政法人海洋研究開発機構(当時:海洋科学技術センター)に設置された
地球シミュレータセンターにより運用されています。現在、地球シミュレータセンターでは、
「地球シミュレータ」の計算性能を活かすため、
地球変動予測研究を推進するための大気・海洋分野や固体地球分野をはじめ、
計算機科学分野、さらには、大規模シミュレーションを必要とする
ナノテクノロジーやバイオ関連等先進的な研究を推進するための先進・創出分野の4分野において、
利用課題を公募、選定し、広く外部の利用に供しています。また、この他、欧米を中心とする9の研究機関と覚書を締結し、
国際的な研究活動を展開しています。
「地球シミュレータ」は、前述のとおり、様々な分野に活用可能な計算機システムであり、 大気・海洋分野や固体地球分野の他に、先進的な大規模シミュレーション分野においても活発に利用されています。 例えば、平成17年度には、以下のような課題が実施されています。
また、地球シミュレータセンターでは、より産業に近い分野におけるシミュレーション技術の確立・浸透を目指し、 他機関と共同で、以下のような研究開発を推進しています。
さらに、新たな分野として、災害に強い構造物の設計、機能性材料の設計・開発、遺伝子機能解析・応用等への利用も可能です。