1. XAFS |
13:30〜 14:00 |
薄膜に対する高輝度放射光を用いたXAFS測定法
宇留賀 朋哉 (JASRI) |
X線吸収微細構造(X-ray Absorption Fine Structure, XAFS)解析は、
物質に含まれる元素の存在状態(局所構造や電子状態)を分析する手法として広く使われている。
XAFS法は元素選択的な手法であり、結晶・非結晶性物質の両方に適用できる点に特徴がある。
そのため、薄膜の有力な状態分析手法の一つとなっている。薄膜のXAFS測定法には蛍光法、電子収量法、及び透過法があり、
それらは試料薄膜の膜厚や測定元素の濃度によって使い分けられている。本講演では、SPring-8の汎用XAFSビームラインBL01B1での測定例を挙げながら、
これらの測定手法について紹介する。 |
2. XPS |
14:00〜 14:30 |
放射光X線光電子分光法の紹介とpoly-Si/HfAlO界面およびpoly-Si/HfSiON界面の反応解析への適用
池永 英司 (JASRI) |
我々が開発しているSPring-8の高輝度硬X線を利用した光電子分光は、高い検出効率と10nm程度という非常に大きなプローブ深さを実現し、
表面の影響(酸化等)を受けずに状態分析できる利点をもつ。
近年、この手法はこれらの利点を活かして多結晶Siゲート電極と高誘電体膜の界面の状態分析に大きな成果を上げている。
本講演ではこのpoly-Si/HfAlO界面およびpoly-Si/HfSiON界面の反応解析を例にあげて、この高輝度硬X線を利用した光電子分光法の紹介とその適用を示す。 |
3. X線反射率 |
14:30〜 15:00 |
X線反射率法の基礎と応用
松野 信也 (旭化成 (株) ) |
近年、多種多様な薄膜素子が開発されており、X線反射率法はその評価に使われている。
例えば、大規模集積回路(LSI)における極薄シリコン酸化膜の膜厚や界面ラフネス、巨大磁気抵抗素子における膜厚評価など、
その適用範囲は今なお拡大しており、製造ラインにおける膜厚管理や密度管理にも使われている。
その特長は、簡便性、繰り返し再現性の良さにあり、加えて理論式とのフィッティングにより埋もれた界面を非破壊で評価できることである。
今回は、X線反射率法の基礎を直感的に説明し、その応用例、特に埋もれた界面をナノレベルの精度で評価した例をお話し、
時間があれば散漫散乱による表面形状の評価と今後の応用にも触れたい。 |
15:00〜 15:30 |
( 休 憩 ) |
4. 微小角入射X線散乱 |
15:30〜 16:00 |
放射光を用いた微小角入射X線散乱による非晶質薄膜の構造解析
佐藤 眞直 (JASRI) |
近年、機能性薄膜の開発において非晶質材料がよく登場する。非晶質薄膜の構造解析にはXAFS測定が効果的であるが、
この手法では第1近接までのごく局所的な構造までしか捉えられないことが多い。
もっと広い範囲での中距離構造を捉えるにはX線散乱測定が必要であるが従来のバルクに対する測定方法では薄膜の場合、
基板の散乱が邪魔になって薄膜からの散乱信号を精度よく捉えることができない。
そこで我々は新たな非晶質薄膜の構造解析ツールとして微小角入射X線散乱法による測定技術の開発を行い、
非破壊で精度よく非晶質薄膜の構造を捉えることができた。この技術について、DVD記録膜などの研究例の紹介を通じて説明する。 |
5. 反射X線小角散乱 |
16:00〜 16:30 |
反射X線小角散乱法による薄膜中の粒子・空孔径評価
伊藤 義泰 ( (株) リガク) |
ナノメートルサイズの空孔径や粒子径を評価する技術として、古くからX線小角散乱法が知られている。
しかしながら、薄膜材料に対して、透過配置の小角散乱測定を行うと、“基板が厚くてX線が透過しない”、
“膜厚が薄いため散乱に寄与する空孔や粒子が少ない”といった問題が生じることが多い。これらの問題を解決するため、
X線を試料表面すれすれに入射させる反射X線小角散乱法を開発した。当日は、反射X線小角散乱に関する紹介と、
実際に反射X線小角散乱を用いて評価したPorous Low-k膜中の空孔サイズ分布や薄膜中に分散した磁性微粒子の粒径サイズ分布の結果について説明を行う。
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6. SPring-8課題申請について |
16:30〜 16:45 |
梅咲 則正 (JASRI) |