**********************************************     ご利用に関する重要なお願い (FXspect ver. 1.33) ********************************************** 本プログラムは、半導体検出器をもちいて測定した蛍光X線の スペクトルを試料の組成比より計算予測し、蛍光XAFS測定の際の ピーク同定作業を支援するためのものです。 以下のお願いをご承諾いただいた方のみ、ご利用ください。 製作者に無断で本プログラムの一部もしくは全部を第三者に販売、配布、譲渡することを禁止いたします。 本プログラムには、製作者が予想できなかった誤りがある可能性があります。 このプログラムを使用することによって得られた知見の利用については 利用者ご自身の責任において行ってください。 製作者は本プログラムのインストール及び利用によってパソコン等に発生した不具合に関する責任は負いません。 本プログラムは、日本国内でのみご使用ください。 本ツールに関する質問、要望がありましたら(bug reportも含めて) 製作者までご連絡いただければ幸甚です。 以上 JASRI 産業利用推進室 廣沢一郎 hirosawa@spring8.or.jp 2012/ 5/18 2011/12/18 2010/ 2/18 2009/ 1/30 2008/ 1/16 2007/11/12 -------------------------------------------------------- ○ ver.1.33 (12/ 5/18) の主要改訂事項 1) elememt に Pt を入力し、Edge で L3 を選択した際に発生する  実行時エラー 9 "インデックスが有効範囲にありません" " への対応(関数 AutoGainの改変)で、エラーを回避 2012/5/17 JASRI加藤和男氏からの指摘 どうもありがとうございます。 ○ ver.1.32 (11/12/18) の主要改訂事項 1) フレームの横幅を若干広げる 2) 使用期限の設定を廃止 ○ ver.1.31 (10/ 2/18) の主要改訂事項 1) スペクトル図上でポインタ位置のエネルギーと電圧を表示 2) スペクトル図上のマウスポインタでの領域指定による拡大と縮小     (これにともない、スケールの拡大・縮小ボタンを廃止) 3) Target 蛍光スペクトルの選択肢に"Kalpha1&2"を追加(エネルギーが近いため) 4) Target 蛍光スペクトルの選択肢に"K beta1&3"を追加(エネルギーが近いため) 5) Target 蛍光スペクトルの選択肢に"Lalpha1&2"を追加(エネルギーが近いため) 6) Amp gain固定機能の追加(従来は励起エネルギー連動) 7) マウスのdouble_clickでtarget元素を入れ替え     (これにともない、コマンドボタンとcheck boxを廃止) 8) マウスのclickでマーカー元素を変更     (これにともないcheck boxを廃止) 9) pile upを表示 10)入力可能なMatrix元素種の数を2個増加し、計11個 ------------------------------------------------------------------ ○ 基本的な利用方法 1)試料パラメータ入力と計算 *** ユーザーが入力可能な部分は背景色が淡黄色になっています。*** 1-1) XAFS測定をする元素の元素記号(elementの下)を黒線より上の領域("Target"(黄字)表示がある領域)    の左上の枠内(桃色)に入力します。   (例 Eu等)    入力された元素が推定対象範囲内であれば、黒字で表示されます。    誤った元素記号(例えば、Yaなど実在しない記号)が入力された場合は、赤字です。 1-2) 元素の組成を1-1)で入力した枠の右側の枠(桃色)入力。    モル比での入力をdefaultとしています。 この入力が終了すると吸収端のエネルギーと波長、原子吸収係数とその吸収端前後での差が表示されます。 1-3) 吸収端の変更    defaultはK吸収端(Edge(深緑色の字)枠内のラジオボタン"K"がon)です。    L3吸収端で推定する場合はEdge(深緑色の字)枠内のラジオボタン"L3"をonにしてください。    L3吸収端で推定可能な元素はTeよりも重い元素に限ります。 1-4) 測定する蛍光X線の選択    吸収端選択の下のCombo boxより選択してください。    DefaultはK吸収端はK alpha 1&2、L吸収端は L alpha1&2 です。    *K alpha1,2は多くの場合、分離ができませんがBiなど重元素では分離可能になります。 分離できない場合は K alpha1&2を選択してください。    *K beta1,3は多くの場合、分離ができませんがBiなど重元素では分離可能になります。 分離できない場合は K beta1&3を選択してください。    *L alpha1,2は通常、分離が困難ですのでL alpha2を選択することは極く稀です。   分離できない場合は L alpha1&2を選択してください。 1-5) 上記1-2)までの入力が完了すると、黒線下領域(Matrix(黄字))の左側、 "element"の下に入力枠が現れます。    この枠に試料に含まれるXAFS測定元素以外の元素の元素記号を入力します。(例 Ba 等) 1-6) 1-4)で入力した枠の右側に現れた入力枠に組成比を入力します。 1-7) 1-5)までの入力が終わると、組成の右側に元素の原子吸収係数の推定値が表示されます。    さらに、1-6)で元素を入力した枠の下に新しく、元素の入力枠が現れますので、    1-5),1-6)の入力操作を繰り返して、試料に含まれる元素すべてを入力します。    なお、XAFS測定をする元素を含めて入力可能な元素は10個です。 1-8) 入力済み元素の直下にある「Plot」ボタンを押すとスペクトルが表示されます。    測定対象とする元素由来の蛍光は緑色に塗りつぶします。 1-9) 特に注目したい元素は元素名をクリックすると背景色が黄色に変わり、    対応するスペクトルが黄色に塗りつぶされます。 2)計算条件の入力 2-1) 入射X線エネルギーは"X-ray Energy (keV)”の値を直接書き換えます。    欄の右側の矢印ボタンで上げ下げできます。    上げ下げの幅はボタン右側の欄の値です。この値も直接入力で変更できます。     丸印ボタンは元素ごとに決めたdefault値に戻します。    不適切な値の場合は、背景色が橙色になり文字も赤くなります。    Target元素の励起エネルギーより小さい値の場合は、背景色は淡黄色で文字が赤になります。 2-2) distance (cm)欄は試料から検出器までの距離を入力します。    この距離をもとに空気による蛍光の減衰を計算します。 最短距離を5cmとしています。検出器での距離に応じた検出される立体角の    最短距離での立体角に対するおよその値を、"Solid angle" に表示します。    また、注目元素の蛍光の大気(空気)による吸収を経て検出される最短距離に    対する割合を”Air Absorption"に表示します。    例えばCoの場合、距離が6.0cmでは最短距離を基準にして立体角は0.6944、    空気を透過し検出器に届く蛍光の割合は0.8201(約18%吸収される)となります。    これら大気による吸収、立体角及びAlアブソーバー(後述)による吸収を    考慮して、検出器に届く注目元素の蛍光X線強度を    ”Detection Ratio"に表示します。 2-3) "Ar flourescence","Elastic scattering"のチェックボックスをonにすると    空気中のAr由来の蛍光(青)、入射光の弾性散乱(赤)を表示します。 2-4) "Escape and Ge"のチェックボックスをonにすると    検出器(Ge)由来のエスケープピークとGe自身からの信号が表示されます。 2-5) "Pile up"のチェックボックスをonにすると     蛍光強度が著しく強い場合に現れるpile upによるスペクトルを表示します。 2-5) "Course Gain","Fine Gain"、"width"は、それぞれアンプのゲインとピーク幅です。    "Course Gain"は欄右側のボタンで切り替えます。 2-6) Gainは元素種の吸収端のエネルギーに応じて適値を自動的に計算しますが    "fix"のチェックボックスをonにするとTarget元素や吸収端を変えてもgainが変化しません。 2-7) "Auto tune"のボタン(○印)を押すとgainの適値を自動計算します。 3) 表示の切り替え 3-1) グラフ左上のラジオボタンで軸スケールを線形と対数に切り替えます 3-2) スペクトルのグラフ上でマウスを左クリックしたまま移動して離すことで    選択した領域のみが拡大表示されます。 3-3) スペクトルグラフ上でマウスを右クリックすると全面表示(拡大表示からの回復)します。 3-4) スペクトルグラフ上のマウスポインタの位置に対応する電圧、エネルギー及び強度が    グラフ上側のX= 、Y=  に表示されます。    また、その右側に計算された全スペクトル強度とtarget元素からの蛍光強度が表示されます。    なお、強度は最強線を100としています。 4)その他 4-1) matrix元素の元素種名をダブルクリックすると、選択した元素とtarget元素を入れ替えます。    (Caより軽い元素は入れ替えの対象外ですので、ダブルクリックしても何も起こりません) 4-2) "save"は試料の組成を保存します。 4-3) "Load"はファイルに保存された試料組成を読み込みます。 5)試料面への光の入射角と試料面に対する蛍光X線の検出角    自己吸収の影響の計算 (Ver.0_11で付加された機能) 5-1) Incident Angle には試料面へのX線の入射角を度単位で入力してください。    defaultは45(度)です。 5-2) Take-off Angle には試料面に対するX線検出方向の角度を入力してください。    defaultは45(度)です。 5-3) ”Sample"のラジオボタンは試料形状を示します。    defaultは"bulk"で、試料組成が均一と仮定して自己吸収効果を計算します    薄膜試料の場合は"film"をonにしてください。    densityとthicknessの欄が現れますので、    それぞれに膜の密度(g/cm3)、膜厚(nm)を入力してください。 *アイコンは、製作者の長女(初版作成時 中一)によるもので象徴的な意味はありません。 ----------------------------------- ○○○ 蛍光強度推定の考え方 蛍光強度は以下の仮定に基づいて推定しています。  1)  試料は板状で組成は面内で均一、面積は無限大  2)  各元素からの総蛍光強度は試料の組成比に比例  3)  総蛍光強度は吸収係数に比例すると仮定  文献(X-ray Data booklet http://xdb.lbl.gov/)に示された     強度比に従って各蛍光の強度を按分する。  4)  原子吸収係数にVictreenの近似式を採用  5)  入射X線は無偏光  6)  試料と検出器の間は大気  7)  検出器の立体角は試料からの距離の二乗に反比例  8)  Compton散乱は考慮しない  9) Amp gainはSPring-8 BL14B2に設置された半導体多素子検出器に準拠 10) 半導体検出器の効率は蛍光エネルギーによらず一定 11) 試料による自己吸収を考慮 (ver.0_11より) ver1.22で加えた蛍光強度推定の考え方 (注1)LIで励起される蛍光のLalpha1(最強線)の強度比は LIIIで励起される蛍光強度比の総和と LIで励起される蛍光強度比の総和の比が Victreenで推定されたLIII、LI由来の吸収の比に 等しいとして推定 *LIII由来の吸収は LIIIとLIIの間の吸収を近似するVictreenより推定された吸収から LIIIより低エネルギー側のVictreenより推定される吸収を外挿した値を 減じたもの。 *LI由来の吸収は LIより高エネルギー域の吸収を近似するVictreenより推定された吸収から LIとLIIの間を近似するVictreenより推定される吸収を外挿した値を 減じたもの。 *LI励起の強度は Hephaestus.exeに示されたProbabilityに沿ってLI由来吸収を按分した。 ver. 1.31で加えたpile upの考え方 試料各元素からの蛍光エネルギーの2倍の位置に もともとの蛍光の5%の強度でpile upを表示 -------------------------------------------------------- 改訂履歴 ver.0_03 初期公開 ver.1_11 08/ 1/16 1) 試料による自己吸収効果を考慮 (これに伴い、入力パラメータレイアウトを一部変更) 2) ”All Clear”を押した場合に発生するRun time Errorの一部を解決 ver.1.22 09/ 1/30 1) LIで励起されるLbeta3,Lbeta4,Lgamma2,Lgamma3のemissionを考慮(注1) 2) LIIで励起されるLnu、Lgamma6を考慮 3) LIIIで励起されるLbeta5,6を考慮 4) Kで励起されるKbeta4,5を考慮 5) 注目する蛍光(XAFS測定する蛍光)を桃色で表示     K alpha1、 K alpha2、 K beta1、     L alpha1、 L alpha2、 L beta1、 6) Escape peakを表示 7) "Target Clear"を削除 8) Matrixの"Clear"動作の際に発生したRunTime Errorを解決 9) MCAスペクトル表示のエネルギー表示(横軸下)の誤りを訂正 10) スペクトル表示を改訂 ○ ver.1.31 (10/ 2/18) 1) スペクトル図上でポインタ位置のエネルギーと電圧を表示 2) スペクトル図上のマウスポインタでの領域指定による拡大と縮小     (これにともない、スケールの拡大・縮小ボタンを廃止) 3) Target 蛍光スペクトルの選択肢に"Kalpha1&2"を追加(エネルギーが近いため) 4) Target 蛍光スペクトルの選択肢に"K beta1&3"を追加(エネルギーが近いため) 5) Target 蛍光スペクトルの選択肢に"Lalpha1&2"を追加(エネルギーが近いため) 6) Amp gain固定機能の追加(従来は励起エネルギー連動) 7) マウスのdouble_clickでtarget元素を入れ替え     (これにともない、コマンドボタンとcheck boxを廃止) 8) マウスのclickでマーカー元素を変更     (これにともないcheck boxを廃止) 9) pile upを表示 10) 入力可能なMatrix元素種の数を2個増加し、計11個に改訂 11) パラメータ入力欄の背景色を変更