本プログラムでは、透過XAFS測定を行う時に必要となる以下の量を見積もることが出来ます。
ただし、ペレット形成時のバインダーにはBN(窒化硼素)を使用 することを前提にしています。
適応可能な吸収端の範囲は以下のとおりです。
また、SPring-8の共用ビームラインBL14B2でのXAFS測定を想定して、
も表示します。
なお、本プログラムでは下記文献の数表を元に廣沢が作成したパラメータ を用いて、原子吸収断面積を計算しています。
"X-ray absorption coefficients of the elements (Li to Bi, U)",
Satoshi SASAKI, KEK Report 90-16, November 1990.
*** ユーザーが入力可能な部分は背景色が淡黄色になっています。***
"Sample form"でラジオボタン"pellet"を選択してください。
XAFS測定をする元素の元素記号(elementの下)を黒線より上の領域("Target"(黄字) 表示がある領域)の左上の枠内(淡黄色)に入力します(例 Eu等)。
入力された元素が推定対象範囲内であれば、黒字で表示されます。誤った 元素記号(例えば、Yaなど実在しない記号)が入力された場合は、赤字で 表示されます。
この入力が終了すると、入力元素の吸収端のエネルギーとそれに対応する X線の波長、吸収端直後の原子吸収係数μaとその吸収端前後で の差Δμa、高次光除去用ミラーの推奨角度範囲、イオンチェン バーに流すガスの推奨混合比及び吸収端でのX線吸収率(I0用イオンチェンバー の長さは17 cm,I1用のものは31 cmとして計算)が表示されます。
1-2)で入力した枠の右側の枠(淡黄色)にターゲット元素の組成を入力します。
モル比での入力をdefaultとしています(黒線より上の領域Contentの枠内のラジ オボタンの"atom"がオン)。重量比で入力する場合は、Content(赤字)枠内のラ ジオボタン "Mass"をオンにしてください。
defaultはK吸収端(Edge(深緑色の字)枠内のラジオボタン"K"がオンです。 L3吸収端で推定する場合はEdge(深緑色の字)枠内のラジオボタン"L3"をオンにしてください。
L3吸収端で推定可能な元素はSnよりも重い元素に限ります。
(a) 上記1-3)までの入力が完了すると、黒線下領域(Matrix(黄字))の左側、"element" の下に入力枠が現れます。この枠に試料に含まれるXAFS測定元素以外の元素の元素記号を 入力します(例 Ba 等)。
(b) 入力した元素の右側に現れた入力枠に組成比を入力します。
モル組成比、重量組成比の切換えは黒線下領域のContent(赤字)枠内のラジオボタンの 選択で行います。
(c) (b)までの入力が終わると、組成の右側に元素の原子吸収係数の推定値が表示されます。 さらに、(a)で元素を入力した枠の下に新しく、元素の入力枠が現れますので、(a),(b)の入 力操作を繰り返して、試料に含まれる元素すべてを入力します。
なお、XAFS測定をする元素を含めて入力可能な元素は10個です。
右側"diameter of pellet"の下の入力枠にペレットの直径[mm]を入力します。デフォルト値は10.0 mmです。
右側中央の"calculation”ボタンを押すと計算が行われ、試料重量の推定値[mg]が表示されます。
ボタンの下の"recommended weight"欄に 錠剤形成に適した試料の重量がmg単位で表示されます。 字の色はstatusに対応して変化します。
その下の"status"欄に透過XAFS測定の可能性に関するメッセージが表示されます。 表示されるメッセージの意味は以下のとおりです。
元素種は同じで、組成を変更したい場合は、content枠内の値を直接変更します。
右下の"BN thickness"はバインダーに用いる窒化硼素のペレットにしたときの厚さです。 計算して"too thick BN" のメッセージがpop upした場合は、 この値(デフォルト値は1mm)を0.5にするなど小さくしてください。
デフォルトでは試料重量を推定する時、BNによる吸収は無視しています。 "BN thickness" の左にある"fix"チェックボックスをオンにすると、 BNによる吸収も含めて、X線の全透過率を最適化した上で試料重量を推定します。 吸収端のエネルギーが低い場合はBNの吸収が無視できなくなってくるので、 "fix"チェックボックスをオンにすることをお薦めします。(ver. 2.8.4では"fix" チェックボックス=オンがデフォルト値となりました。)
"Sample form"でラジオボタン”foil”を選択してください。
Edge枠内のラジオボタン"K"か"L3"を選択してください。
density入力枠に試料の質量密度[g/cm3]を入力して下さい。
右側中央の"calculation”ボタンを押すと計算が行われ、透過XAFS測定に適正な 試料厚さ("recommended thickness"表示枠)、透過XAFS測定の可能性("status" 表示枠)、試料の全吸収("μt"表示枠)と吸収端前後での吸収量差("Δμt"表 示枠)が、それぞれの表示枠に表示されます。
"film thickness”入力枠に膜厚[mm]を入力すると、その右隣の"total μt (film)"と"Δμt (film)"表示枠にその膜厚の時のμtとΔμtが表示されます。
さらに、"Hold film status"チェックボックスをオンして、"Sample form"を "substrate"に変更すると、上記膜厚、μt、Δμtを表示したまま、基板による 吸収量を続けて検討出来ます。
"Sample form"でラジオボタン"substrate"を選択してください。
吸収量を見積もる吸収端の元素種を選択してください。
Edge枠内のラジオボタン"K"か"L3"を選択してください。
density入力枠に試料の質量密度[g/cm3]を入力して下さい。
thickness入力枠に基板の厚さ[mm]を入力して下さい。
"calculation”ボタンを押すと、指定した吸収端でのX線の、基板による吸収量が計算されます。
** 同一組成の試料で、複数の元素種でのXAFS測定を検討する場合 (例 Eu0.2Ba0.8Al10O17(青色蛍光体BAM)でEuで検討後、Baの検討を行う場合)
黒線下領域左側(”Matrix(黄字)の表示がある領域)の”change target" を押します。
入力済みの各元素の左側にチェックボックスが表示されるので、検討したい元素に隣接したチェックボックスをオンにします。
”Matrix”(黄字)の下に現れた"swap"ボタンを押すと選択した元素と、それまでターゲットとしていた元素が組成比も含めて入れ替わります。
メニューの[file]から[save]を選択すると、保存するファイル名を入力する画面が開きますので適当なファイル名を入力してください。保存されるのは 元素種と組成、吸収端と推奨試料重量です。
メニューの[file]から[load]を選択すると、保存されたファイル名を入力する画面が開きますので適当なファイル名を入力してください。保存された試料の元素種、組成、吸収端、推奨試料重量を読み込みます。