SPring-8利用推進協議会
「有機・粉末結晶構造解析研究会」設立趣意書

SPring-8利用推進協議会 研究開発委員会            
( 代表:大橋 裕二(東京工業大学 名誉教授・JASRIコーディネーター))

1. 目的
これまで使用されてきた物質の同定手段としてのX線粉末回折であったが、近年、計算機の性能の向上・解析ソフトウエアの開発の結果、これまで困難と考えられてきた有機結晶の構造解析が可能になり、タンパク結晶も解析されるようになってきている。
 しかし、有機系の粉末結晶構造解析は自動化が進んだ単結晶構造解析と比べて、結晶学についての基本的な知識を必要とするなど解析の初心者が容易に解析結果が得られる状況にはないが、近年、物質科学の進展の状況から、物質の三次元構造を知る必要性はますます増大しており、効果的・迅速な粉末構造解析手法の習熟・伝播に期待が高まっている。
 本研究会はこのような状況の元に、産官学の研究者が定期的に集い、有機系粉末結晶構造解析の新たな解析法を研究・伝播すると同時に、放射光を利用した粉末結晶解析が産官学の共同研究として大きく発展することを目的とする。

2.活動内容
1)有機・粉末結晶構造解析手法の伝播
  既に解析実績の評価されているソフトウエア類を用いて、会員各位での利用実績を早期に得るように支援する。 当面、ソフトウエアDASHの講習会などを随時共催する。
2)共同研究を含めた早期解析実績の展開
  結晶構造解析の経験の有無に関わらず、本手法の業務への早急な展開が期待される会員については解析習熟者との円滑な共同研究の実施を推奨し、早期の結果取得に努める。
3)研究会実施
  本研究会での構造解析結果については、研究会実施時にを随時発表し、最新の実験手法・解析手法の取得を目指す。 意見交換・利用相談も含めて会員のSPring-8利用実績に繋がることを目的とする。
4)講演会支援 
  非会員の粉末解析専門家の方を招き、最新手法の習得を目指すことも検討する。
5)以上を元に、更なる効率的・先端的放射光利用についての構造解析システムの改良などの研究についても実施予定とする。回折データ測定は随時計画する。

3.期間・開催頻度
 平成18年度より開始し、継続については2年毎に見直すものとする。年4回程度開催予定。

4.メンバー
 SPring-8利用推進協議会参加企業・団体により広く募集する。

以上